*この秋、4劇場(※)で歌舞伎・文楽が上演される『伊賀越道中双六』。
ブーム到来な予感!?な『伊賀越』が気になるあなたのための、ひとくちコラムです。
※ 9月国立小劇場(文楽)、9月公文協西コース(歌舞伎)、11月国立大劇場(歌舞伎)、11月国立文楽劇場(文楽)
今日のテーマはこちら!
●室町時代の事件??● 伊賀越レベル★★☆
三大敵討ちのお話を引き続きしていきます。
赤穂浪士の敵討ちを扱った演目で一番有名なのは『仮名手本忠臣蔵』。
伊賀上野の敵討ちを扱った演目で一番有名なのは『伊賀越道中双六』。
この2つの演目には共通点があります。
さて、何でしょう??
・・・
答えは、時代設定が江戸時代ではないこと!
両方とも、大きく言えば室町時代、足利氏政権下の時代が舞台になっています。
『仮名手本忠臣蔵』の時代設定は南北朝の争いがあったころ。
浅野内匠守は「塩冶判官」に、吉良上野介は「高師直」となっていますが、両者とも『太平記』に登場し、対立する実在人物です。
塩の名産地・赤穂の藩主浅野内匠守に「”塩”冶判官」、高家のトップの吉良上野介に「”高”師直」と、なかなかのネーミングセンス。
※高家とは、江戸幕府で儀礼や典礼を取り仕切る役職のこと。
『伊賀越道中双六』は室町幕府12代将軍足利義晴のころ。
初段に、「ころは大永元年二月上旬」とあります。西暦でいうと1521年です。
そうはなっていますが、登場人物たちは基本的には名前が少し変えられているだけで、実在の歴史人物に仮託されているわけではないのが、『忠臣蔵』との違いです。
「伊賀上野の敵討ち」で、渡辺数馬にとってのお殿様にあたる岡山藩主・池田忠雄にあたる登場人物は、『伊賀越』では「上杉顕定」とされていますが、本当の上杉顕定さんは1510年に亡くなっています。
『伊賀越』は舞台を室町時代とはしていますが、あまり室町時代らしさは考慮していないみたいです。
さらに、冒頭の場面は両演目とも鶴岡八幡宮ということも共通しています。
さらにさらに、『忠臣蔵』の塩冶判官と、『伊賀越』の和田志津馬は「勅旨饗応役」という仕事を任され、2人とも悪役にはめられて失敗します。
敵討ちトップ3に入る2作品、設定が似ているのは興味深いですね。
・・・
ところで、2作品とも江戸時代の事件を扱っているはずなのに、わざわざ室町時代に設定しているのはなぜなのでしょう?
それは…ちょっと長くなるので、続きはまた明日!
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